ランニングフォームテストを行うことで、ランニングエコノミーについて洞察を得ることができますが、バイオメカニクスの観点から長所と短所が明らかになります。しかし、これらの測定データから、ランニング能力の新たな要素が発見される時にこそ、価値を見出すことができます。

COROSのコーチングチームによるランニングエコノミーの構成要素やテスト結果の解説、課題の改善点などランニングフォーム改善のためのガイドは以下をお読みください。ランニングフォームテストに必要なデバイス:

・COROSウォッチ(PACE 2, PACE 3, APEX Pro 1, APEX 2/2 Pro, VERTIX, VERTIX 2, Kiprun 900)

・COROS POD/POD 2


テスト結果の分析


 ランニングフォームテストをすると、ランニングフォームの総合スコア、走法、3つの構成要素のスコア(スキル、強度、バランス)が表示されます。これらの各要素は互いに密接に関連していますが、トレーニング効率を高めるためには、1つ1つの要素にそれぞれフォーカスしたトレーニングを計画して実践することが重要です。

スコアの範囲は固定されたものか、それとも個別化されたものか。
 スコアの範囲は同じような能力や身体的特徴を持つランナーに合わせて設定されています。あなたのスコアを友人と比較することはできますが、テスト結果の解釈は同じとは限りません。このことを念頭に置きながら、以下をご参照ください。

接地時間

 歩幅のうち、足が地面に接地している時間(ms)。接地時間は下半身の運動効率の優れた指標となります。

スコアの説明

 スコアが低い(接地時間が長い)と、足が一歩から次の一歩へ素早くジャンプする過程で効率が悪く、ランナーとしてパワー能力の欠如を意味しています。しかし、接地時間が長いことは危険なことというわけではなく、ランニングフォームの非効率性の結果だということです。

改善方法

 接地時間を改善(または短縮)するためには、練習で一定ペースを保ちながらピッチをリズム良く刻むことに集中してください。脚の捌きを学習させると接地時間の短縮につながります。さらに、プライオメトリックトレーニングなどのジャンプトレーニングが、パワー能力を向上させ接地時間の短縮に貢献します。


接地角度(入射角)

 接地角度とは、接地時の重心と足の位置の角度のことです。


スコアの説明

 低スコアの状態は、接地時の脚が重心に対して過度に手前側で接地している状態です。また、接地角度が大きいと、関節の過度な消耗やアキレス腱の故障に繋がります。

改善方法

 走行時に前傾姿勢をとると接地角度を改善することができます。そうすると、脚が身体の近くで接地するようになります。また、接地角度の改善にはストライドを小さくして、ピッチを速くすることも効果的です。


上下動比

 上下動比とは、ストライド(離地から接地間)の腰の上下動の高さを、ストライド長で割った値のことです。走行時のバウンドの大きさを把握することができます。

スコアの説明

 走動作はボールを遠くへ投げることに似ています。高すぎず低すぎない適切な角度で投げます。走動作のストライドの過程も同じで、自分の走動作の特徴を理解しながら、できるだけ遠くにジャンプ動作を連続するための理想的な上下動があり、それをここではストライド比と呼びます。ストライド比が高すぎると、オーバーストライドの可能性があります。走動作で重力に逆らって過度にエネルギーを消耗していることが考えられます。

改善方法

 接地角度と上下動比の2つの要素は密接に関連しています。走動作では重力に対しての効率と連動しているため、前傾姿勢をとれば重心が上方ではなく前方になり経済的な動きに繋がります。さらに、脚部の筋力を向上させることで、ストライド長が改善されてストライド比の向上にも直結します。


足部剛性(レッグスティフネス)

 足部剛性とは走動作において接地時の最大地面反力と脚部の圧縮量の比率であり、脚がどれだけのエネルギーを吸収して利用できるかを示しています。単位はkN/mです。足部の腱が走行時にどれだけ強く反応し、より多くのエネルギーを吸収して効率的な走行ができるかを示す優れた指標です。

スコアの説明

 低スコアの状態は、骨格構造(骨、腱、靭帯)が走行時に重要な役割を果たすほど強化されていないことを意味します。それらに十分な強度があれば腱がバネの役割を果たし、地面反力を利用して走行時のエネルギー効率を高めることができます。足部剛性が低いと(足首が柔らかいと)、腱や靭帯の過度な消耗から故障に繋がります。

改善方法

 筋力トレーニングは、足部剛性を改善する最良の方法です。基本的には、最低1セット40~45秒間の負荷のかける筋力トレーニングであれば筋力を向上させるのに役立ちます。

ピーク地面反力

 走動作において脚にかかる地面反力の最大値を示しています。一般的なジョギング時には、脚が受ける地面反力のピーク値は、体重の約2-3倍にもなります。ピーク地面反力は、このエネルギーを片脚の絶対値(kN)で表したものです。脚部の総合的な強さの指標となります。

スコアの説明

 低スコアの状態は脚部が弱いことを示しており、走行時に全身を支えるために脚力が必要です。垂直方向の地面反力が低いと、過剰な練習量をこなした時に故障に繋がる可能性があります。

改善方法

 一般的な筋力トレーニングが、ピーク地面反力の数値を大きく改善し、その他の数値の改善にも繋がります。

バランス(左右差)

 バランスとは両足で接地している時間の比率を示しています。ランニングは一般的には左右対称的な動作ですが、凸凹な路面や曲がり角・カーブ、またランナーの不調時などでは左右差が大きく、不安定な走動作になる可能性もあります。バランスは脚部の状態の指標となり、故障予防のモニタリングにも使用できます。

スコアの説明

 左右差が大きいと、走行時に片脚が過剰に使用していることを意味します。この状態は他の要因に比べて故障に繋がりやすいので、この指標は重要です。

改善方法

 自分の左右差を確認して、どちらの脚に過度の負担がかかっているかを確認します。また、過去の故障歴や手術歴などの要因も考慮しながら、左右差が発生している原因を考えます。医師や理学療法士などと協力して、ランニング以外のフィジカルトレーニングやドリルなどを行いましょう。また、この左右差の改善のためには、片脚でのレッグエクササイズを行うことで改善が見込めます。


COROS METRICS